妊娠中のピラティスはやめたほうがいい?初期・中期・後期の注意点を解説

ピラティス 妊娠中

妊娠中(12~16週目頃から)のピラティスは問題ないとされていますが、初期・中期・後期それぞれの時期で注意点があります。日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会提言でもピラティスは推奨スポーツのひとつとして挙げられており、正しく取り組めば体のコア強化・姿勢改善・腰痛予防・むくみ軽減・陣痛時の痛み軽減・分娩時間の短縮などのメリットが期待できます。ただし、妊娠中は、過度に腹圧がかかる運動や仰向けでの長時間運動など、避けるべき動きもあるので注意が必要です。
この記事では、時期別の注意点と安全なやり方をわかりやすく解説します。

目次

妊娠中のピラティスのメリット

妊娠中に体を動かすことは母体の健康維持・増進などの点で推奨されています。その中で、学術委員会産婦人科部会の産婦人科部会から公表されている『学術委員会産婦人科部会提言』において、ピラティスは推奨されているスポーツの一つとしてあげられています。

妊娠中のピラティスには、さまざまなメリットがあります。妊娠期の変化に対応し、健康な妊娠生活を送るための具体的な効果を見ていきましょう。

体の基礎機能向上に

妊娠中のピラティスは、体のコアを強化するのに非常に役立ちます。妊娠中は、腹部の筋肉が伸び、骨盤底筋が緩むため、これらの筋肉をサポートするためのエクササイズが重要です。ピラティスは、特にコアを中心としたエクササイズに焦点を当てており、腹部、腰、骨盤底筋を強化するのに最適です。これにより、腰痛や骨盤の不安定感を軽減し、日常生活の動作が楽になります。

姿勢を改善し体への負担を軽減

マタニティピラティスは、姿勢の改善にも効果的です。妊娠中は、お腹が大きくなることで重心が変わり、姿勢が崩れやすくなります。ピラティスのエクササイズは、背筋や肩甲骨周りの筋肉を強化することで、良い姿勢を保つのに役立ちます。正しい姿勢を維持することで、腰や背中への負担を減らし、快適な妊娠生活を送ることができます。

さらに妊娠中にピラティスを行うと、

  • 帝王切開率が下がる
  • 分娩時間を短縮する
  • 妊婦の体重増加を抑制する
    といった効果があり、母体の負担が減ることもわかっています。※1

※1参考文献:Zaman AY. Obstetric, maternal, and neonatal outcomes after Pilates exercise during pregnancy: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2023 May 26;102(21):e33688. doi: 10.1097/MD.0000000000033688. PMID: 37233445; PMCID: PMC10219711.

ストレスを軽減しメンタルヘルス向上へ

ピラティスは、呼吸法を重視するエクササイズでもあります。深い呼吸を通じてリラックスし、ストレスを軽減する効果があります。妊娠中は、ホルモンバランスの変化や出産への不安から、ストレスを感じやすい時期です。マタニティピラティスを通じて、心身のリラックスを図ることで、メンタルヘルスの向上にもつながります。また、呼吸法を学ぶことで、出産時の呼吸法もスムーズに行えるようになります。

血行を促進しむくみの軽減に

妊娠中のピラティスは、血行促進にも効果的です。妊娠中は、血液循環が悪くなりやすく、特に脚のむくみが気になることがあります。ピラティスの動きは、血行を促進し、体内の水分バランスを整えるのに役立ちます。例えば、足首を回したり、脚を上げたりするエクササイズは、むくみの軽減に効果的です。定期的にマタニティピラティスを行うことで、血流を改善し、体のむくみを減少させることができます。

妊娠中のピラティスの注意点

妊娠中にピラティスを行う際には、いくつかの注意点があります。これらを理解し、安全にエクササイズを行うことが重要です。

医師やインストラクターに相談する

まず、ピラティスを始める前に、必ず医師と相談して許可を得ることが必要です。特に妊娠初期やリスクのある妊娠の場合は、ピラティスを行っても問題ないかどうかを確認しましょう。医師から妊娠中のピラティスについての許可を得ている証明として、「マタニティピラティス参加許可書」のような書類の提出を求められる場合もあります。

また、ピラティスのインストラクターにも妊娠中であることを伝え、あなたの状態に合わせた指導を受けるようにしましょう。妊娠中や産後に特化した“マタニティピラティスの資格”を保有しているインストラクターから指導を受けるのがおすすめ。専門的なアドバイスを受けることで、安全にピラティスを続けることができます。

安全に運動できる条件に当てはまるか確認する

妊娠中にピラティス(スポーツ)を行ってよいとされる条件は、妊娠経過が正常で下記全てを満たしていることです。

  • 後期流産・早産の既往がない
  • 偶発合併症・産科合併症がない
  • 単胎妊娠で胎児の発育に異常がない
  • 妊娠12週以降である

妊娠高血圧症候群、前置胎盤、切迫流産・切迫早産などのリスクがない、経過が順調な妊婦さんであることが条件です。

ピラティスを安全に始められる時期の判断

妊娠中のピラティスは12週目以降から可能とされていますが、これまでピラティスの習慣がなかった方の場合は、妊娠16週を過ぎて胎盤が完成して体調が安定してから始めることも検討してください。12週(妊娠4ヶ月)に入ってすぐはまだ体調が不安定な方も多いため、慎重に判断していきましょう
産科主治医からピラティスの許可を得るだけでなく、自分の体調と合わせて判断することが大切です。

妊娠中も安全にピラティスを行うためのポイント

  • ピラティス前後に心拍数を測定し,終了後には子宮収縮や胎動に注意する
  • 体調の変化に十分に注意する
  • 暑熱環境を避ける
  • 妊娠16週以降では,長時間仰向けになるのは避ける
  • 子宮収縮出現頻度が少ない午前10時から午後2時頃に運動する
  • 頻度は週 2~3 回程度、1 回の60分以内が目安

といったポイントを押さえておくと安心です。

(参考文献:学術委員会産婦人科部会提言)

体に無理を与えないようにゆっくりと行う

妊娠中の体は普段と違い、特にデリケートです。無理をせず、自分のペースでエクササイズを行うことが重要です。急激な動きや高強度のエクササイズは避け、ゆっくりとした動きで体を慣らしていきましょう。

特に、腹部に圧力がかかる動作や、腹筋を強く使うエクササイズは避けるべきです。また、妊娠後期には仰向けの姿勢を長時間続けることも避けたほうが良いでしょう。これにより、血流が制限されることを防ぐことができます。

さらに、妊娠中は体のバランスが変わりやすく、転倒のリスクが高まります。バランスを必要とするエクササイズを行う際には、サポートを使うか、必要ならば中止することを検討してください。

これらの注意点を守りながら、妊娠中のピラティスを安全に楽しみましょう。適切なエクササイズを選び、無理をせず、自分の体調に合わせて行うことで、ピラティスのメリットを最大限に引き出すことができます。

妊娠期別おすすめのピラティスの方法

妊娠中の体の変化に応じて、適切なピラティスのエクササイズを選ぶことが重要です。時期ごとに体の状態は大きく変わります。『前期に問題なかったから大丈夫』と同じエクササイズを続けてしまうと、中期・後期には体への負担になることもあります。今の妊娠週数に合った動き方を、あらためて確認してみてください。

妊娠初期(〜13週目)

妊娠初期は、胎児の発育が始まる重要な時期です。この時期は自然流産のリスクが高いため、腹圧をかける動作が多いピラティスを行うのはおすすめできません。つわりなどで体調も不安定なため、少なくとも11週目まではピラティスや運動を控えて安静にしましょう。12~13週目も体調が優れない人が多いため、安定期(16週目頃)までピラティスの開始時期を待つことも検討してください。

妊娠前から定期的にピラティスを行っていて体が慣れている方であれば、12~13週目以降に体調をみながら、メンテナンスとして軽いピラティスに取り組むのが良いでしょう。体幹強化ではなく、呼吸を意識したリラックス目的で無理なく取り組めみましょう。

妊娠中期(14週~27週目)

妊娠中期(14〜27週ごろ)は、つわりが落ち着き、比較的体が動かしやすくなる時期です。特に安定期に入る16週目頃からはピラティスを始めやすいタイミングです。ただし、お腹が大きくなり始めるため、腹部に圧力がかかるうつ伏せ・長時間の仰向けのポーズは避けましょう。

四つん這いでのキャットカウや、立位での骨盤底筋エクササイズ、マーメイドなど、お腹への負担が少ない動きを中心に取り入れるのがおすすめです。体調の異変を感じたら、すぐに動きを止めて休憩するよう心掛けてください。

妊娠後期(28週目~出産)

妊娠後期になると、体重増加や体のバランスの変化が顕著になります。このため、エクササイズの選び方にも工夫が必要です。例えば、腹部を圧迫するような姿勢は避け、仰向けの姿勢も長時間は避けるべきです。また、重心が不安定になりやすいため、サポートを使いながら行うことが推奨されます。妊娠後期のピラティスでは、体を動かすことでリラックスし、出産に向けた体力を維持することが主な目的となります。

妊娠中のスポーツの終了時期は、異常が認められない場合には“特に制限しない”とされているので、妊娠後期までピラティスを続けることも可能です。

妊娠期に避けるべきピラティスのポーズ

妊娠中に避けるべきピラティスのポーズには、腹部を強く圧迫するものや、バランスを崩しやすいポーズがあげられます。具体的には、プランクやサイドプランク、ツイストの動き、仰向けで行う長時間のエクササイズなどです。これらのポーズは、妊娠中の体に過度な負担をかける可能性があるため、避けることが推奨されています。

代わりに、安全で効果的なポーズとしては、四つん這いの姿勢で行うキャットカウや、骨盤底筋を意識した軽いスクワット、呼吸法を取り入れたリラックスポーズなどがあります。これらのポーズは、体を柔軟に保ち、リラックス効果を高めるのに役立ちます。

ピラティス 妊娠中 ポーズ

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まとめ

妊娠中のピラティスのメリット

1. 妊娠中に低下しがちな体の基礎機能の回復
2. 姿勢を改善し、体への負担を軽減
3. ストレスの軽減やメンタルヘルスの向上
4. 血行を促進しむくみが軽減される

妊娠中のピラティスの注意点

1. 医師やインストラクターに必ず相談する
2. 自分の体調を考慮して無理のない範囲で行う

妊娠中のピラティスは、多くのメリットをもたらします。体のコアを強化し、姿勢を改善し、ストレスを軽減し、血行を促進するなど、妊娠中の健康維持に非常に効果的です。さらに、出産準備や産後の回復、育児に必要な体力維持にも役立ちます。しかし、妊娠中の体に合わせた適切なエクササイズを選び、無理をせず行うことが重要です。

医師や専門のインストラクターと相談しながら、自分の体調に合わせたエクササイズプランを立て、安心してピラティスを楽しみましょう。ピラティスを通じて、健康で快適な妊娠生活を送り、充実した育児生活を迎えるための準備を整えましょう。

ピラティスは、妊娠中の女性が体をケアし、健康な妊娠生活を送るための強力なツールです。適切なエクササイズを選び、無理をせず続けることで、ピラティスの効果を最大限に引き出すことができます。ピラティスを通じて、健康で快適な妊娠生活を送りましょう。

参考文献

  • 日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会|妊婦スポーツの安全管理基準
  • Zaman AY. Obstetric, maternal, and neonatal outcomes after Pilates exercise during pregnancy: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2023 May 26;102(21):e33688. doi: 10.1097/MD.0000000000033688. PMID: 37233445; PMCID: PMC10219711.(妊娠中ピラティスを受けた女性は、対照群よりも妊娠中に体重が増加する可能性が低い。ピラティスを受けた女性は、妊娠中に体重が増加する可能性が低い。妊娠中のピラティスは、帝王切開率と分娩時間を短縮する効果がある。)
  • Haseli A, Eghdampour F, Zarei H, Karimian Z, Rasoal D. Optimizing labor duration with pilates: evidence from a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. BMC Pregnancy Childbirth. 2024 Aug 31;24(1):573. doi: 10.1186/s12884-024-06785-5. PMID: 39217291; PMCID: PMC11365214.(ピラティス運動を行った妊婦は行わなかった妊婦と比較して、分娩の活動期と分娩全体の期間が有意に短縮された。ピラティスが分娩時間の短縮に役立つ可能性)
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